腕を上げて物を取るときにジーンと痛んだ左肩が施術を経て楽になってきた例(30代男性)
主訴
2026年7月、左肩の痛みでご来院されました。1〜2か月前から症状が出はじめ、特に来院の1週間ほど前から強くなっていました。腕を上げたときや、棚の物を取ろうと手を伸ばしたときに、肩にジーンとした痛みが出る状態でした。
当院の評価
患者様への説明
腕を上げる動きを確かめると、二の腕の骨(上腕骨)の上端が、肩の受け皿に対して前や上へずれるように動くくせがありました。そこで、骨が前や上へ滑らないように手で軽く支えた状態で腕を上げていただくと、痛みが軽くなりました。このことから、腕を上げるたびに骨の位置がずれて、肩のなかで負担が集まりやすくなっていると考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】腕を上げる・物を取ろうと手を伸ばすときに左肩にジーンとした痛み/1〜2か月前から出現し1週間前から増悪 【所見】上腕骨頭の前方滑り・上方滑りを徒手で制限した状態での挙上で疼痛が軽減
身体機能評価
上腕骨頭の前方滑り・上方滑りの制限下で挙上時痛が軽減(骨頭の求心位不良を示唆)/肩甲挙筋・小胸筋・三角筋・大胸筋・上腕二頭筋・僧帽筋上部の機能評価
判断
腕を上げるときに上腕骨の上端が前や上へ滑りやすく、その位置のずれが肩の痛みにつながっていると推測しました。骨の位置を保つのは肩と肩甲骨まわりの筋肉の働きなので、関わる筋肉の働きを整えて、腕を上げる動きのなかで骨が受け皿の中心に収まりやすい状態をつくる方針としました。
施術の様子
患者様への説明
肩の位置に関わる筋肉として、首から肩甲骨につながる筋肉(肩甲挙筋、僧帽筋の上部)、胸の筋肉(小胸筋、大胸筋)、肩を覆う筋肉(三角筋)、腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)の働きを整えるトレーニングを行いました。あわせて、左肩を前後から挟むように電気療法を行い、痛みの出ている部分の緊張をやわらげました。
専門的内容
【運動療法】肩甲挙筋・小胸筋・三角筋・大胸筋・上腕二頭筋・僧帽筋上部のトレーニング/【物理療法】左肩を前後から挟む形での電気療法
施術の経過
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初期
初回の施術直後は腕を上げやすくなりましたが、2回目にうかがうと、5日ほど経つころには痛みが戻っていたとのことでした。3回目には、痛みはあるものの落ち着いている日が出てきました。
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中期
4回目には、ふだんはあまり気にならず、ふとしたときに1日に2回ほど痛みが出る程度になりました。5回目から7回目にかけては、1週間を通して痛みが出ない状態が続きました。
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後期
8回目以降は、週に1回から2週間に1回のペースへ移行しました。現在は、ふとしたときに1、2回痛みが出る程度に落ち着いており、肩の状態を保つ目的で2週間に1回のペースで続けていただいています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円+電気療法 990円
2回目以降の料金
施術 7,136円
通院の目安
施術回数
8回以上(2回目から7回目は週1回、8回目以降は2週間に1回のペースで継続中)
施術期間
2回目は5日ほどで痛みが戻る、3回目で落ち着く日が出る、5回目から7回目で1週間痛みが出ず、8回目以降は2週間に1回へ移行
ここでは、この症例の記録とは別に、「腕を上げたり物を取ろうと手を伸ばしたりすると、左肩にジーンとした痛みが出る状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
肩が痛いのに、骨の位置や筋肉のトレーニングを見るのはなぜ?
肩の関節は、二の腕の骨(上腕骨)の丸い上端が、肩甲骨の浅い受け皿に乗っているつくりです。受け皿が浅い分、腕を上げる動きのなかで骨の上端が受け皿の中心に収まっているかどうかは、まわりの筋肉の働きに左右されると考えられています。この症例では、骨が前や上へ滑らないよう手で支えると痛みが軽くなったため、骨の位置のずれが痛みに関わっていると考えました。
骨を中心に保つのは、まわりの筋肉の働き
胸の筋肉や腕の前側の筋肉が強く働きすぎると、骨の上端は前へ引かれやすく、肩を覆う筋肉の働きがかたよると上へ押し上げられやすいと言われています。首から肩甲骨につながる筋肉は、土台となる肩甲骨の位置に関わります。これらの筋肉の働きのバランスを整えることで、腕を上げる動きのなかで骨が中心に収まりやすくなると考えられています。この症例では、電気療法で痛みの出ている部分の緊張をやわらげつつ、筋肉の働きを整えるトレーニングを中心に進めました。
施術のあと数日で戻る時期をどう見るか
筋肉の働きのくせは、一度の施術で変わりきるものではないと考えられています。最初のうちは施術直後だけ楽で数日で戻る時期があり、回を重ねるうちに落ち着く日が増えていく経過は、こうした症例でよく見られます。この症例でも、2回目は5日ほどで戻っていましたが、週1回を続けるうちに落ち着く日が増え、5回目以降は1週間痛みが出ない状態になりました。経過には個人差があります。
腕を上げると出る肩の痛みでは、骨の上端が前や上へ滑っていないかを確かめ、骨の位置を保つ筋肉の働きを整えていくことが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
大畑 維吹棚の物を取ろうとするたびに肩がジーンと痛むと、何気ない動きのたびに気になってしまいますよね。この方は、腕を上げるときに骨の位置が前や上へずれやすいくせが背景にありました。まわりの筋肉の働きを整えていくことで、最初は数日で戻っていた痛みが、少しずつ出ない日が増えていきます。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- 腕を上げたり、高いところの物を取ろうとしたりすると肩がジーンと痛む
- ここ数か月で痛みが出はじめ、最近になって急に強くなった
- 肩の前側や上のほうに、詰まるような感じがある
- 施術のあとは楽でも、数日すると同じ痛みが戻る
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 高いところの物を取るときは、肩をすくめずに、肩甲骨ごと腕を持ち上げるイメージでゆっくり動かす
- デスクワークの合間に、胸の前(大胸筋、小胸筋)を痛みのない範囲でゆっくり伸ばし、肩が前へ巻き込まれるのを防ぐ
- 痛みが落ち着いてきても、肩甲骨まわりの運動を続けて、骨の位置を保つ筋肉の働きを保つ
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 転倒や事故、強くぶつけたあとに痛みが出て、腕が上がらない
- 腕や手にしびれや力の入りにくさが出てきた
- 夜間の痛みが強く、眠れない日が続いている
- 肩が腫れている、熱っぽい、発熱をともなっている
- 安静にしていても痛みが強まり続けている
よくある質問
腕を上げると出る肩の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、2回目の時点では施術のあと5日ほどで痛みが戻っていましたが、3回目で落ち着く日が出はじめ、5回目から7回目にかけては1週間を通して痛みが出ない状態になりました。8回目以降は2週間に1回のペースへ移行して、現在も続けています。経過には個人差があります。
肩を押したりもんだりはしないのですか?
この症例では、骨の滑りを手で抑えると痛みが軽くなったことから、骨の位置を保つ筋肉の働きを整えるトレーニングを中心に進め、痛みの出ている部分には電気療法で緊張をやわらげる形を組み合わせました。状態によって手技を組み合わせる場合もあります。
痛みが落ち着いたあとも続けているのはなぜですか?
この症例では、ふとしたときに痛みが出ることがまだ残っているため、筋肉の働きのくせが戻らないよう、2週間に1回のペースで状態を確かめながら続けていただいています。続け方は、お仕事や生活の負担に合わせてご相談のうえ決めています。
大畑 維吹腕を上げて物を取るときに出る肩の痛みは、骨の位置と、それを保つ筋肉の働きを確かめると、見通しが立てやすくなります。高いところに手を伸ばすたびに肩が痛む方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








腕を上げると肩がジーンと痛む状態でしたが、骨の滑りを手で抑えると痛みが軽くなったことから、骨の位置を保つ筋肉の働きに着目して進めました。最初のうちは施術のあと数日で戻る時期がありましたが、週1回を続けるうちに落ち着く日が増え、5回目以降は1週間痛みが出ない状態になりました。今は2週間に1回のペースで、状態を保つために続けていただいています。