母指CM関節症を評価する。第1手根中手関節の変形性関節症とグラインドテスト
セラピスト向け
親指の付け根の痛みを関節症で診る
母指CM関節症は、母指の付け根の第1手根中手関節に生じる変形性関節症です。つまむ・ひねる動作での痛みと、進行に伴う亜脱臼・内転変形を生じます。中年以降の女性に多く、ドケルバン病や手根管症候群との鑑別、そして装具と関節保護を軸にした保存療法が要点になります。
親指の付け根の痛みを腱鞘炎と取り違えないよう、臨床では母指CM関節症を、関節症として病態・評価・鑑別・保存療法に分けて見ていきます。
病態:第1CM関節の変形性関節症
母指の付け根の第1手根中手関節(CM関節)は、母指を広い範囲で動かす鞍関節で、つまみ動作で大きな力を受けます。加齢や反復負荷で軟骨が変性し、関節症をきたします。進行すると亜脱臼や母指の内転変形、代償性のMP関節過伸展(スワンネック様)を生じます。
つまむ・つかむ・ひねる動作で母指の付け根が痛み、瓶のふた開けや鍵を回す動作で誘発されます。中年以降の女性に多く、手の使用やホルモン環境が関与するとされます。手の変形性関節症として、ヘバーデン結節と併存することもあります。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎疫学と自然経過(期待値の設定)
中年以降の女性に多く、手の使用が背景になります。痛みは活動期に強く、保存療法で管理できる例が多い一方、進行すると変形が残り、難治例では手術が検討されます。
「変形そのものを戻すことはできないが、痛みと機能は保存療法で管理できることが多い」という見通しを共有しておくと、過度な期待や不安を避けられます。
評価:所見を組み合わせて絞り込む
- 圧痛:第1CM関節(母指の付け根の関節)の圧痛・腫脹
- グラインドテスト:軸圧をかけ回旋し、関節の痛み・轢音を再現
- 誘発:つまみ・ひねり動作での痛み、つまみ力の低下
- 変形:CM関節の亜脱臼、母指内転、MP関節の代償性過伸展
- 鑑別所見:腱の走行に沿う痛み、しびれの有無
所見は組み合わせて解釈します。関節の圧痛とグラインドテストでの再現を、腱や神経の所見と分けて判断します。
鑑別(外せないもの)
- ドケルバン病(第1区画の腱鞘炎):手首寄りの腱の走行に沿う痛み
- 手根管症候群:母指から環指橈側のしびれ(神経症状)
- 舟状大菱形骨間(STT関節)の関節症
- 関節リウマチなど炎症性関節炎
- 母指MP・IP関節の障害、ばね指(母指)
介入:関節保護と装具を設計する
- 装具:CM関節を支えるサポーター・スプリント(活動期や夜間)
- 関節保護:強いつまみ・ひねりを減らす道具の工夫(太いグリップ、てこの利用)
- 運動:母指球・第1背側骨間筋など安定筋の賦活、過度な負荷は避ける
- 活動期の負担管理、保温
- 難治例・強い変形はステロイド注射や手術の適応評価を手の外科へ
装具と関節保護・生活指導が保存療法の中心で、痛みと機能の改善に役立ちます。変形そのものを矯正する根拠はなく、効果は痛みと使いやすさで評価します。難治例ではステロイド注射や手術(関節形成術など)が検討されます。リウマチを疑う所見があれば自己判断せず医療機関での評価につなぎます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎「腱」でなく「関節」を見極める
母指CM関節症は、関節症として捉え、グラインドテストでの再現を症状に結びつけます。ドケルバン病や手根管との鑑別を押さえ、装具と関節保護で組み立てます。難治例は手の外科へつなぎます。





