デュピュイトラン拘縮を評価する。手掌腱膜の病態とテーブルトップテスト、適応の見極め
セラピスト向け
手のひらのしこりと拘縮を見極める
デュピュイトラン拘縮は、手掌腱膜の線維増殖により索状物(コード)が生じ、指が伸ばせなくなる屈曲拘縮です。環指・小指に好発し、中高年男性、糖尿病・飲酒・遺伝が関与します。痛みは乏しく緩徐に進行。徒手で索状物を伸ばすことはできず、進行例は注射・手術が適応で、見極めて医療につなぐことが要点になります。
手のひらのしこりや指の伸びにくさを腱の問題と取り違えないよう、臨床ではデュピュイトラン拘縮を、病態・評価・鑑別・対応に分けて見ていきます。
病態:手掌腱膜の線維増殖
デュピュイトラン拘縮は、手のひらの皮下にある手掌腱膜が線維性に増殖し、結節や索状物(コード)を形成して、指のMP・PIP関節が屈曲位に拘縮していく病態です。環指・小指に好発し、両手のこともあります。
中高年男性に多く、糖尿病、アルコール、喫煙、遺伝的素因が関与します。痛みは乏しく、緩徐に進行します。徒手で索状物を引き伸ばして治すことはできず、進行度に応じて治療法が選択されます。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎疫学と自然経過(期待値の設定)
中高年男性に多く、緩徐に進行します。軽症で機能障害がなければ経過観察、拘縮が進めば注射や手術が選択されます。再発もあり得ます。
「徒手で治す病態ではなく、軽症は経過観察、拘縮が進めば医療での治療が必要。治療しても再発しうる」という見通しを共有しておくと、不適切な徒手介入や過度な期待を避けられます。
評価:機能と進行を追う
- 索状物・結節:手掌〜指の皮下の索状物、皮膚の陥凹
- テーブルトップテスト:手のひらを机に平らに置けるか(置けないと進行の目安)
- 拘縮の程度:MP・PIP関節の伸展制限の角度
- 分布:環指・小指、両手の有無
- 背景:糖尿病・飲酒・喫煙・家族歴
機能障害の程度と進行を評価し、治療適応の見極めにつなげます。徒手所見で確定するより、機能と経過で判断します。
鑑別(外せないもの)
- ばね指(弾発指):屈伸での引っかかり・弾発(拘縮でなく弾発)
- 屈筋腱の癒着・損傷:外傷歴、能動・受動の差
- 手掌の腫瘍・ガングリオン
- 強皮症など皮膚硬化をきたす疾患
- 関節由来の拘縮(関節症・拘縮)
対応:徒手で伸ばさず、適応を見極める
- 軽症・無症候:経過観察、進行のモニタリング(テーブルトップテスト)
- 過度な伸張を行わない:索状物を無理に引き伸ばす介入は適応でない
- 機能障害が進めば医療へ:注射(コラゲナーゼ)や手術(腱膜切除)の適応評価
- 術後はハンドセラピーで可動域・機能を支援
- 背景因子(糖尿病など)の管理も視野に
デュピュイトラン拘縮は、徒手で索状物を伸ばして治すことはできません。机に手のひらを平らに置けない、拘縮が進んで生活に支障が出るといった段階では、注射や手術が適応となるため、無理な徒手介入を続けず手の外科につなぎます。私たちの関わりは、進行の把握と、術後のハンドセラピーが中心になります。
まなぶ先生
教子先生
瀬谷崎「伸ばして治す」ではなく「見極めてつなぐ」
デュピュイトラン拘縮は徒手で治す病態ではありません。索状物と拘縮の程度を機能に結びつけ、ばね指などと鑑別し、進行例は手の外科へつなぎます。私たちは進行把握と術後支援を担います。





