うがいのように上を向くと出ていた左の首から肩の痛みが施術を経て左右差がなくなった例(60代女性)
主訴
2026年7月、左の首から肩にかけての張りと痛みでご来院されました。会社員として長時間のデスクワークをされており、うがいをするときのように首を上に向ける動きで、左の首から肩にかけて痛みが出る状態でした。
当院の評価
患者様への説明
姿勢を確かめると、左の肩甲骨が下がった位置(下制)にありました。首を後ろに反らす動きを見ると、首の下のほうの骨(下位頸椎)で強く反る動きのくせがあり、上を向くたびにその部分へ負担が集まりやすい状態と考えました。
日常動作・解剖学的動診
【日常】うがいのように上を向く動作で左頸部から肩に痛み/長時間のデスクワーク 【所見】左肩甲骨の下制、頸部伸展時に下位頸椎の伸展が優位な動作パターン
身体機能評価
左肩甲骨の下制(アライメント評価)/頸部伸展時の下位頸椎伸展優位/上腕二頭筋・広背筋・僧帽筋上部の機能評価
判断
左の肩甲骨が下がった位置で固定され、首を反らすときに下のほうの頸椎に動きが集中していたことで、上を向く動作のたびに左の首から肩へ負担が集まっていたと推測しました。肩甲骨まわりの筋肉の働きを整え、首を反らす動きそのものを見直す方針としました。
施術の様子
患者様への説明
肩甲骨の位置に関わる腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)、背中の大きな筋肉(広背筋)、首から肩にかけての筋肉(僧帽筋の上部)のトレーニングを行い、肩甲骨を支える働きを整えました。あわせて、首を反らすときに下のほうだけで反らず、首全体でなめらかに動かす動作の練習を行いました。セルフケアとして、上腕二頭筋と広背筋のストレッチをお伝えしました。
専門的内容
【運動療法】上腕二頭筋・広背筋・僧帽筋上部のトレーニング/頸部伸展時の動作指導/【セルフケア指導】上腕二頭筋・広背筋のストレッチ
施術の経過
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初期
施術を重ねるうちに、上を向いたときの痛みが軽くなっていきました。
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中期
3回目には、首を後ろに反らしたときの痛みが出なくなりました。
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後期
その後も変化が続き、現在は左の肩から首にかけての強い張り感が軽くなり、左右差も気にならない状態になっています。
料金・通院目安
料金の目安
初回料金
施術 3,740円
2回目以降の料金
施術 7,980円
通院の目安
施術回数
3回目で上を向くときの痛みが出なくなり、その後も経過をみながら継続
施術期間
3回目で首を反らしたときの痛みが出なくなり、その後も張り感と左右差が軽くなる
ここでは、この症例の記録とは別に、「うがいのように首を上に向けると、左の首から肩にかけて張りと痛みが出る状態」という状態について、一般的な見方やご自宅でのヒント、医療機関へ相談する目安を順にたどります。
上を向くと首が痛いのに、肩甲骨やわきの筋肉を見るのはなぜ?
肩甲骨は首の筋肉の土台にあたり、肩甲骨が下がった位置で固定されると、首から肩へ渡る筋肉が引き伸ばされたまま働き続けると考えられています。わきの下の大きな筋肉(広背筋)や腕の前側の筋肉(上腕二頭筋)は肩甲骨の位置に関わるため、ここが硬いと肩甲骨は下がった位置に引かれやすいと言われています。首に痛みが出ていても、土台の肩甲骨の位置が関わっていることは少なくありません。
首を反らすとき、どこで反っているか
首は7つの骨でできていて、本来は全体でなめらかに反ると考えられています。下のほうの骨だけで強く反るくせがあると、上を向くたびにその一か所に負担が集中しやすいと言われています。うがいのように上を向く日常の動きで痛みが出る場合、反らし方そのものを見直すことが手がかりになります。
ゆるめるだけでなく、動かし方を練習する理由
張っている筋肉をゆるめても、肩甲骨を支える筋肉の働きや首の反らし方が変わらなければ、同じ動きで同じ場所に負担が戻ると考えられています。肩甲骨を支える筋肉のトレーニングと、首全体で反らす動作の練習を組み合わせることが、戻りにくさにつながると言われています。この症例でも、3回目には反らしたときの痛みが出なくなり、その後も左右差が気にならなくなりました。
上を向くと出る首から肩の痛みでは、肩甲骨が下がった位置で固定されていないか、首の下のほうだけで反っていないかを確かめ、支える筋肉と反らし方を整えることが、進め方を考えるうえで役立つと言われています。
杉生 真悟うがいのような何気ない動きで首が痛むと、日常のたびに気になってしまいますよね。この方は、左の肩甲骨が下がっていたことと、首の下のほうだけで反るくせが背景にありました。肩甲骨を支える筋肉を育てて、首の反らし方を練習することで、少しずつ左右差がなくなっていきます。
こんな方に気になりやすい(セルフチェック)
次のような項目に心当たりが多い方は、負担が集まりやすい傾向があると言われています。当てはまること自体が異常を意味するわけではありません。
- うがいや洗髪など、上を向く動きで首から肩に痛みや張りが出る
- 長時間のデスクワークで、片側の首から肩が張りやすい
- 肩甲骨の高さが左右で違うと言われたことがある
- 首を反らすと、首の付け根より下のほうに詰まる感じがある
ご自宅でできる工夫
痛みが和らいできたら、一般的なセルフケアとして次のような工夫が知られています。
- 上を向くときは、あごを軽く引いたまま首全体でゆっくり反らし、痛みの出る手前で止める
- デスクワークの合間に、わきの下から背中にかけて(広背筋)と腕の前側(上腕二頭筋)を痛みのない範囲でゆっくり伸ばす
- 1時間に一度は肩をすくめてゆっくり下ろし、肩甲骨の位置をリセットする
痛みやしびれが強いとき、力が入りにくいときは無理に行わず中止し、医療機関にご相談ください。
こんなときは医療機関へ
多くは時間とともに和らいでいくと言われていますが、次のような場合は、自己判断せず早めに医療機関を受診してください。
- 腕や手にしびれや力の入りにくさが出てきた
- 首の痛みとともに、めまい・吐き気・ろれつの回りにくさが出た
- 転倒や事故のあとに痛みが出た
- 発熱や強い頭痛をともなっている
- 安静にしていても痛みが強まり続けている
よくある質問
上を向くと出る首の痛みは、何回くらいで変わりましたか?
この症例では、3回目に首を後ろに反らしたときの痛みが出なくなり、その後も左の肩から首にかけての強い張り感が軽くなって、左右差も気にならない状態になっています。経過には個人差があります。
首を押したりもんだりはしないのですか?
この症例では、張っている首そのものよりも、下がった肩甲骨と首の反らし方に負担のもとがあると考え、肩甲骨を支える筋肉のトレーニングと動作の練習を中心に進めました。状態によって手技を組み合わせる場合もあります。
下を向くと張る肩こりとは、何が違いますか?
上を向くと痛む場合は、肩甲骨が下がった位置で固定され、首の下のほうで反りすぎている動作のくせが関わることが多いと考えられています。下を向くと張る場合とは負担のかかり方が違うため、確かめる場所も変わります。同じデスクワークの2つの症例を比べたカンファレンス記事も参考になります。
杉生 真悟上を向く動きで出る首から肩の痛みは、肩甲骨の位置と反らし方を確かめると、見通しが立てやすくなります。うがいや洗髪で首が痛む方は、一度ご相談ください。
この症状について、担当者と複数のスタッフで臨床的に検討したカンファレンス記事もあります。評価の進め方や考え方の詳細はこちらをご覧ください。
施術担当者

経歴
症例レポートは、改善した例だけでなく、そうでなかった例も含めて結果を選ばず掲載しています。








上を向くときの首の痛みは、首だけを見ていると見落としやすいのですが、この方は左の肩甲骨が下がった位置で固定され、反らす動きが首の下のほうに集中していました。肩甲骨を支える筋肉のトレーニングと、首の反らし方の練習を組み合わせることで、3回目には反らしたときの痛みが出なくなり、左右差も気にならなくなっています。